2019年宅建試験対策 ―法改正ポイント②建築基準法―

 

 宅建に影響を与える法改正ポイント。今回は「建築基準法」関連を分かりやすく解説しました。
 前回解説した民法改正関連はコチラ↓

2019年宅建試験対策 ―法改正ポイント①相続法―

 

 

目次

1.接道義務に関する例外の追加

 「接道義務」についてはもうご理解されているでしょうか?
 緊急車両(消防車や救急車)の導線を確保するため、幅員4M以上の建築基準法上の道路に2M以上接しなければ家を建てたり増改築したりすることができない、という規制です。

 今回の改正では、この接道義務の例外が追加されました。

 

改正点

<改正前>
 ○原則
  建築物の敷地は、幅員4M以上の道路に2M以上接しなければならない
 ○例外
  (1) 以下の条件を満たしたものは例外
   ① 周囲に広い空地を有する
   ② 国土交通省令で定める基準に適合する建築物である
   ③ 特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認める
   ④ 建築審査会の同意を得て許可したもの

<改正後>
 ○原則
  建築物の敷地は、幅員4M以上の道路に2M以上接しなければならない
 ○例外
  (1) 以下の条件を満たしたものは例外
   ① 周囲に広い空地を有する
   ② 国土交通省令で定める基準に適合する建築物である
   ③ 特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認める
   ④ 建築審査会の同意を得て許可したもの
  (2) 以下の条件を満たしたものは例外
   ① 利用者が少数であるもの
   ② その用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合するもの
   ③ 特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの
   ※注 建築審査会の同意は不要

 

 

 

宅建出題ポイント

 新たに新設された「例外」については、建築審査会の同意は不要とされました。
 今回の改正では、例外の範囲が増えたとともに、その審査手続きが緩和された点もポイントとなります。

 国土交通省の当改正に関する通達では、「接道規制の適用除外に係る手続の合理化」として、「建築審査会の同意不要」に注目して紹介されています

 ここは出題ポイントとしては非常に分かりやすいため、チェックしておく必要があります。

<例題>
幅員4M以上の道路に2M以上接しなくても、
利用者が少数でその用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合しており、
建築審査会の同意を得た許可したものについては建築することができる。

 

 ⇒ ×
  建築審査会の同意は不要ですね。

 

 

2.耐火構造等とすべき木造建築物の対象を見直し

 木造建築物の整備推進と、防火改修・建替え等を促進するための改正です。

改正点

① 耐火構造等とすべき木造建築物の対象を見直し。
 (高さ13m・軒高9m超 → 高さ16m超・階数4以上) 
② 上記の規制を受ける場合についても、木材のあらわし等の
  耐火構造以外の構造を可能とするよう基準を見直し。
③ 防火地域・準防火地域内において高い延焼防止性能が求められる
  建築物についても、内部の壁・柱等において更なる木材利用が
  可能となるよう基準を見直し。

 

 

宅建出題ポイント

宅建試験においては、

①の「高さ13m・軒高9m超 → 高さ16m超・階数4以上」となった緩和部分

を押さえておきましょう。

 

 

 

3.空き家⇒福祉施設・商業施設等の用途変更制限緩和

 近年、社会問題となっている空き家問題への対策として改正されました。
 空き家を福祉施設・商業施設等に用途変更する場合の制限が緩和され、より空き家活用をしやすくしたものです。

改正点

① 戸建住宅等(延べ面積200㎡未満かつ階数3以下)を福祉施設等とする場合、耐火建築物等不要
  ※ 在館者が迅速に避難できる措置を講じなければならない
② 用途変更に伴う建築確認対象を100㎡から200㎡に見直し

 

 

宅建出題ポイント

 いずれの改正も宅建ではよく出題されるポイントです。
 特に空き家問題は注目されていますので、出題される可能性は高いでしょう。

 

 

4.老人ホーム等の容積率規制の緩和

 少子高齢化問題・介護問題への対策として、老人ホーム等をより建築しやすくした改正です。

改正点

老人ホーム等の共用の廊下や階段について、共同住宅と同様に、容積率の算定基礎となる床面積から除外

 

 

 
 
 

宅建出題ポイント

他の容積率に関する規則と一緒に覚えておきましょう。

 

 

5.仮設興行場等の仮設建築物の設置期間の特例

 東京オリンピック対策のための改正です。

改正点

仮設建築物のうち、オリンピックのプレ大会や準備等に必要な施設等、特に必要があるものについて、建築審査会の同意を得て、1 年を超える存続期間の設定を可能とする。

 

 
 
 

宅建出題ポイント

 東京オリンピック対応という特殊な改正のため、出題される可能性はそこまで高くないと思われます。

 出題されるとしたら、「1年超」「建築審査会の同意」の部分がポイントとなりますので、頭の片隅に入れておくとよいでしょう。

 

 

おわりに

いかがでしたでしょうか?

宅建試験の中でも、建築基準法は暗記項目が多いので、微妙な改正が正誤にかかわってきます。

今回の改正は、以下の背景をもとにしたものがほとんどです。

 

① 糸魚川市大規模火災(2016年12月)や埼玉県三芳町倉庫火災(2017年2月)などの大規模火災
② 空き家数が、20年で1.8倍に増加
③ 木造建築を巡る多様なニーズへの対応

 

こういった背景を頭に入れておくことで、ストーリー立てて覚えることができますので、学習が捗ることがあります。

ぜひ、背景から押さえてみてください。

 

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