【勘定科目】障害者雇用納付金の会計処理は?消費税や損金算入を解説

 

障害者の雇用の促進等に関する法律に基づき、事業主は一定数の障害者を雇用しなければなりません。

一定数に満たない場合、「障害者雇用納付金」を納付する義務が生じます。

 

金額は算定方法が決まっていますので、通知に基づいて支払うだけですが、会計処理については注意点がいくつかあります。

 

今回は、障害者雇用納付金の会計処理について解説していきます。

 

 

目次

障害者雇用納付金とは?

障害者雇用納付金の会計処理を確認する前に、簡単にこの納付金の性質を確認しておきましょう。

 

障害者雇用納付金とは何でしょうか。

簡単に言うと、企業で雇用しなければならない障害者の数に満たない場合に課されるペナルティだと思ってください。

 

障害者の雇用の促進等に関する法律により、企業では雇用者の2.2%の障害者を「法定雇用」として雇用する義務が課されています。

しかし、企業の状況や障害者の状況によっては、規定数の雇用が困難な場合があります。

 

その場合に、不足数×50,000円 をペナルティとして支払うことでその義務を免れることができるのです。

これが「障害者雇用納付金」の正体です。

これは、障害者の雇用を促進するにあたり、障害者を雇用している企業とそうでない企業の間に不公平が生じないように定められています。

 

障害者雇用納付金制度について、さらに詳細に知りたい場合には、

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の公式HP(障害者雇用納付金制度の概要
)をご覧ください。

 

 

 

障害者雇用納付金の勘定科目は?

障害者雇用納付金が発生した場合には、租税公課に計上しましょう。

法律に基づく支払ですので、税金と同様租税公課が適当です。

 

なお、費用の計上時期は、

「支払時」ではなく、

「費用が確定した日」となります。

この場合は、申請書が受理された日や告知された日になりますので、未払金計上する必要があります。

 

<例>
当年度の障害者雇用納付金が500,000円であることが確定した。

 

借方 貸方
租税公課 500,000 未払金 500,000

 

 

 

障害者雇用納付金の消費税は?

障害者雇用納付金には消費税は課税されませんので、不課税仕入(消費税対象外)として処理しましょう。

その理由は、障害者雇用納付金が消費税の課税要件に該当しないためです。

<消費税課税要件>
① 事業者が事業として行う取引
② 対価を得て行う取引
③ 資産の譲渡等
(参考・引用:国税庁HP(No.6105 課税の対象)

 

障害者雇用納付金は、企業が必要な義務を履行しないことによるペナルティ(罰則)としての性質があります。

その支払いに対する対価はありませんし、資産の譲渡等にも該当しません。

そのため、消費税は課税されないのです。

 

 

 

障害者雇用納付金は税務上損金算入できる?

障害者雇用納付金は税務上損金算入可能です。

その理由は、国税庁のHPに損金算入時期についての記載があるためです。

第4款 賦課金、納付金等
9-5-7 法人が納付すべき次に掲げる賦課金等については、それぞれ次に定める日の属する事業年度の損金の額に算入する。
(3) 障害者の雇用の促進等に関する法律第53条第1項に規定する障害者雇用納付金
 当該障害者雇用納付金の額につき、障害者雇用納付金申告書が提出された日(告知に係る金額については、当該告知があった日)
参考・引用:国税庁HP(第4款 賦課金、納付金等)

 

したがって、障害者雇用納付金は損金算入可能な租税公課として経理上区分しましょう。

 

 

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。

今回は障害者雇用納付金の会計処理について解説しました。

障害者雇用に関する手続きは複雑ですが、納付金の会計処理は比較的シンプルです。

2点、

  • 消費税は対象外
  • 損金算入可能

ということをおさえておけば問題ないでしょう。

 

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