企業活動において、駐車場を使用することは多くあります。
1件当たりの金額は少額ですが、車を利用する営業会社などではかなりの金額になることがあります。
また、店舗営業でお客さんの駐車場代を店が負担する場合や、車通勤者の駐車場代を会社が負担するケースも想定されます。
今回は企業が支出する駐車場代の会計処理について解説していきます。
目的別に解説していきますので、知りたい会計処理をみつけていただければと思います。
目次
企業活動で駐車場を使用する目的
駐車場代の会計処理を解説する前に、企業活動ではどのような目的で駐車場代が発生するかを考えていきましょう。
以下の3パターンを挙げます。
- 営業・商談などの営業活動で駐車場を利用
- 来店した顧客の駐車場代を負担
- 車通勤社員の駐車場代を会社が負担
勘定科目や費用区分を決めるうえで、「支出の目的」は非常に重要な意味を持ちます。
まずは、その駐車場代が何の目的で使用されたものかを考えましょう。
駐車場代の勘定科目は?
① 営業・商談などの営業活動で駐車場を利用
最もオーソドックスなパターンがこちらではないでしょうか。
営業車で営業活動をしているときに発生するものです。
この場合には、旅費交通費で計上しましょう。
通常の電車代・バス代・タクシー代と同じですね。
事業によっては、VIPな顧客を送迎したり、ご案内する場合もあると思いますが、この場合も同様に旅費交通費で問題ないでしょう。
ただし社内管理会計上、顧客のために使用した駐車場代を独立して管理したい場合には、サービス費や顧客案内費などの科目を設定しても良いでしょう。
② 来店した顧客の駐車場代を負担
店舗営業などを主軸とした事業形態の会社で発生します。
郊外の店舗ですと、敷地内駐車場があって駐車場代がかからない場合がありますが、都心部ですと店舗に駐車場がない店舗がほとんどです。
その場合は、お客さんは近隣のコインパーキングに駐車します。
これを店舗側が負担することも「サービスの一環」としてあり得る企業戦略です。
その場合、サービス費などの科目に計上するのがいいでしょう。
ただし、金額的な重要性が低い場合や、会計処理をシンプルにしたい場合には旅費交通費の計上でも問題ないでしょう。
また、いずれのケースでも、領収書類は必ず回収しましょう。
証憑を保管しておかなければ、不正利用や税務上否認されるリスクがあります。
③ 車通勤社員の駐車場代を会社が負担
ここは最も注意が必要です。
通勤に必要な駐車場代を会社が負担すること自体は問題ありませんが、負担する対象の規定によって会計処理が異なります。
- 特定の社員・役員のみに限定して負担
- 全社員・役員の駐車場代を負担
まず、例えば、「部長以上」や「取締役のみ」など特定の社員や役員のみの駐車場代を負担する場合には、対象者に対する給与として課税されます。
勘定科目は通勤電車代と同じく、通勤費で問題ありませんが、給与課税する必要がありますのでご注意ください。
一方で、通勤に必要と認められる全社員・役員の駐車場代を負担する場合には、通常の通勤費と同様の取り扱いになりますので、通勤費として処理し、給与課税する必要もありません。
なお、「全社員・役員を対象にしている」ということが対外的に説明できるよう、人事規定などで定めておく必要があります。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は企業が支出する駐車場代の会計処理について解説しました。
勘定科目などの会計処理はシンプルですが、社員や役員の通勤駐車場代を負担する場合には注意が必要ですね。
一方で、勘定科目が「旅費交通費になるかサービス費になるか」はさほど重要ではありません。
会社のコスト管理において、管理しやすい科目を選択してください。
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