海外取引において外貨で売上の入金や費用の支払いが発生すると、為替レートの変動により計上した金額と入出金の金額が異なることになります。
4/30に売上100ドルを計上した(4/30時点レート:110円/ドル)
⇒売上100ドル×110=11,000円
5/31に売上100ドルが入金した(5/31時点レート:112円/ドル)
⇒売上100ドル×112=11,200円
200円違う!!
こうなると、売掛金が200円足りなくなって入金消込で困ってしまいますよね。
為替差損益に関する会計処理はいろいろと複雑なところがあるため、会計基準や解説サイトを見ても逆に分からなくなりがちです。
しかし、上記で例示したようなケースであれば、非常にシンプルに処理できます。
当記事では、経理初心者がはじめに直面する「為替差損益の基礎」をシンプルに解説していきます。
目次
入金側:為替差損益の仕訳計上方法
売掛金<入金額のとき
4/30に売上100ドルを計上した(4/30時点レート:110円/ドル)
⇒売上100ドル×110=11,000円
5/31に売上100ドルが入金した(5/31時点レート:112円/ドル)
⇒売上100ドル×112=11,200円
<4/30>
借方 | 貸方 | ||
売掛金 | 11,000 | 売上 | 11,000 |
<5/31>
借方 | 貸方 | ||
普通預金 | 11,200 | 売掛金 | 11,000 |
為替差益 | 200 |
為替の影響で、当初計上した売上より入金額が多くなったわけですから、差額が「益」になります。
売掛金>入金額のとき
4/30に売上100ドルを計上した(4/30時点レート:110円/ドル)
⇒売上100ドル×110=11,000円
5/31に売上100ドルが入金した(5/31時点レート:108円/ドル)
⇒売上100ドル×112=10,800円
<4/30>
借方 | 貸方 | ||
売掛金 | 11,000 | 売上 | 11,000 |
<5/31>
借方 | 貸方 | ||
普通預金 | 10,800 | 売掛金 | 11,000 |
為替差損 | 200 |
為替の影響で、当初計上した売上より入金額が少なくなったわけですから、差額が「損」になります。
支払側:為替差損益の仕訳計上方法
買掛金<出金額のとき
4/30に費用100ドルを計上した(4/30時点レート:110円/ドル)
⇒費用100ドル×110=11,000円
5/31に費用100ドルが入金した(5/31時点レート:112円/ドル)
⇒費用100ドル×112=11,200円
<4/30>
借方 | 貸方 | ||
費用 | 11,000 | 買掛金 | 11,000 |
<5/31>
借方 | 貸方 | ||
買掛金 | 11,000 | 普通預金 | 11,200 |
為替差損 | 200 |
買掛金>出金額のとき
4/30に費用100ドルを計上した(4/30時点レート:110円/ドル)
⇒費用100ドル×110=11,000円
5/31に費用100ドルが入金した(5/31時点レート:108円/ドル)
⇒費用100ドル×112=10,800円
<4/30>
借方 | 貸方 | ||
費用 | 11,000 | 買掛金 | 11,000 |
<5/31>
借方 | 貸方 | ||
買掛金 | 11,000 | 普通預金 | 10,800 |
為替差益 | 200 |
期末:為替差損益の仕訳計上方法(外貨口座)
この章は「外貨口座」を保有している場合のみ関係します。
外貨口座の残高はドルで表示されますが、日本の財務諸表(BS)に記帳するときには円に換算する必要があります。
しかし、為替レートは毎日変動します。
毎日レートを調べて円に換算するのは手間ですし、毎日決算するわけでないので不要ですよね。
ですので、基本的には月末にその時点のレートを使って円に換算します。
4/30 ドル口座の残高は10,000ドルだった(4/30時点レート:110円/ドル)
⇒10,000ドル×110=1,100,000円
5/31 ドル口座の残高は10,000ドルだった(5/31時点レート:112円/ドル)
⇒10,000ドル×112=1,120,000円
<5/31>
借方 | 貸方 | ||
普通預金 | 20,000 | 為替差益 | 20,000 |
期末:為替差損益の相殺処理
期末決算の時に、損益計算書(PL)に為替差益と為替差損の両方に残高が残っている場合、相殺仕訳を計上して純額表示しなければなりません。
外貨建取引等の会計処理に関する実務指針
為替差損益の表示(一 2 (2)及び一 3)
28.外貨建金銭債権債務等に係る決済差損益と換算差損益とは、ともに為替差損益として処理し、差益と差損を相殺した純額で損益計算書に表示する。
(引用:日本公認会計士協会「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」)
6/30時点の残高は以下のとおりだった。
・為替差益:50,000円
・為替差損:30,000円
<6/30(決算整理)>
借方 | 貸方 | ||
為替差益 | 30,000 | 為替差損 | 30,000 |
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は為替差損益に関する仕訳について解説しました。
当サイトでは、他にも勘定科目や仕訳などの解説をしています。
【PR】経理でスキルアップしたい方は「スタディング」がおススメです
当サイト管理人は、スタディング税理士講座を受講していました。
そのため、会計・経理系の資格講座には、スタディングをおススメしています。
【PR】会計ソフトを探している方は「やよい会計」がおススメです
個人事業主やスタートアップ企業の経営者の方などで、
と思っている方は多いと思います。
そんな方におススメなのが「やよい会計」です。
おすすめポイントは、
- 経理初心者でもダントツで分かりやすい
- ランニングコストがダントツで安い
という点です。非常に重要ですね。
10年の経理歴の中で、様々な会計ソフトや経営者・フリーランサーを見てきた私が、断言します。
正直、社員数1,000人以上の大企業にはおススメできませんが、個人事業主や数十人程度の会社であれば「やよい会計」で間違いないでしょう。
無料体験も可能です。
- 白色申告用はずっと無料プランあり!
- 青色申告用は1年間無料プランあり!
- 法人向けは2ヶ月無料プランあり!
無料体験中に解約しても費用は掛かりませんので、とりあえず無料登録してみましょう!