企業活動において、さまざまな種類の税金を支払います。
税金の支払いは各税目で年に1回~数回程度しか発生しませんので、ついつい支払いが漏れてしまうこともあります。
もちろん支払わないことはいけないことですが、「延滞税」や「延滞金」を支払うことで許されるような仕組みになっています。
今回はこの「延滞税」「延滞金」の会計処理について解説していきます。
目次
延滞税と延滞金のちがいは?
どちらも、税金などの支払いが漏れてしまった場合にかかる”ペナルティ”です。
呼び方の違いは以下の通り分けられます。
- 延滞税:国税(法人税・消費税など)にかかる遅延
- 延滞金:地方税(住民税・事業税・固定資産税など)にかかる遅延
シンプルで分かりやすいですね。
なお、金額の算出方法は異なる場合があります。
金額の算出方法を知りたい方は、国や各自治体のHPをご確認ください。
延滞税・延滞金の勘定科目は?
延滞税・延滞金は租税公課に計上しましょう。
どの税目で発生した延滞金かは特に区分する必要はありません。
仮に区分したい場合には、摘要欄などのフリースペースに記載しておきましょう。
なお、その際に補助科目で「延滞税」や「延滞金」であることを区分しておくと、後々管理がやりやすくなるのでお勧めです。
<例>
固定資産税の延滞金として、2,000円を納付した。
借方 | 貸方 | ||
租税公課 | 2,000 | 普通預金 | 2,000 |
延滞税・延滞金の消費税は?
延滞税・延滞金に消費税はかかりませんので、「不課税仕入(消費税対象外)」として処理しましょう。
不課税となる理由は、消費税の課税要件に当てはまっていないためです。
消費税がかかる要件は以下のとおりです。
- 事業者が事業として行う取引
- 対価を得て行う取引
- 資産の譲渡等
※参考・引用:国税庁HP(No.6105 課税の対象)
延滞税や延滞金は、納付期限に遅れたことによるペナルティ(罰則金)ですので、支払うことによって対価は得られませんし、資産の譲渡等にも該当しません。
そのため、消費税は不課税となっているのです。
延滞税・延滞金は損金不算入?
延滞税や延滞金は、会計上は費用ですが、税務上は損金不算入(経費にできない)です。
そのため、税務申告書で加算処理する必要があります。
根拠は国税庁のHPに記載されています。
1 損金の額に算入されない主な租税公課
(2) 各種加算税及び各種加算金、延滞税及び延滞金(地方税の納期限の延長に係る延滞金は除きます。)並びに過怠税
参考・引用:国税庁HP(No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期)
申告書作成時に加算漏れがないよう、租税公課で仕訳を計上する際には、補助科目等で「延滞税・延滞金」である旨を分かるようにしておくとよいでしょう。
なお、例外として記載されている
「地方税の納期限の延長に係る延滞金」
とは、災害等により地方自治体の指針に基づいて遅延した場合にかかる利息です。
単純に「納付を忘れた・遅れた」場合に発生する延滞金とは異なりますのでご留意ください。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は税金にかかる延滞税・延滞金の会計処理について解説しました。
もちろん納期限までに支払うことが鉄則ですが、経理担当者も人間ですので、誤って遅延することもあります。
そんなときは慌てず、なるべく早めに納付しましょう。
会計処理は、消費税が対象外であったり、税務上損金算入できない等、イレギュラーな対応になりますので、必ずおさえておきたいですね。
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