マンション経営を営んでいる方にとって、修繕は非常に重要なポイントです。
保有する部屋の規模によっては、高額な支出となり、経営を圧迫する死活問題になりかねません。
その場合、その修繕に係る費用が
- 一括損金計上できるのか
- 資産計上しなければならないのか
は税金の計算に大きく関わってきます。
そこで今回は、マンション経営において最も多く発生する費用の一つである、
壁紙の貼替費用
の税務上の取扱いについて解説していきます。
目次
1.資本的支出・修繕費とは?
まず、資本的支出・修繕費それぞれの意義を確認しておきましょう。
(1) 資本的支出とは
国税庁による法令解釈通達によると、
第8節 資本的支出と修繕費
7-8-1 法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額(後略)
(国税庁HP:第8節 資本的支出と修繕費)
とあります。
つまり、固定資産の修繕により、
- 固定資産の価値を高めた場合
- 固定資産の耐久性を高めた場合
には資本的支出となり、一定の場合を除き、固定資産と同様に減価償却する必要があります。
なお、一定の場合とは、次のいずれかに該当する場合をいいます。
①修繕に係る費用が20万円未満であること
②3年以内の周期で行われる修繕であること
③修繕に係る費用が、60万円未満または前期末における取得価額の概ね10%相当額以下であること
※③は資本的支出か修繕費か明らかでない場合のみ
(2) 修繕費とは?
国税庁による法令解釈通達によると、
第8節 資本的支出と修繕費
7-8-2 法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額(後略)
(国税庁HP:第8節 資本的支出と修繕費)
とあります。
つまり、固定資産の修繕の目的が、
- 固定資産の通常の維持管理のため
- き損した固定資産につきその原状を回復するため
である場合には、修繕費となり、支出時の損金として一括費用計上できます。
2.壁紙の貼替費用は資産計上?修繕費?
資本的支出と修繕費の定義を踏まえたうえで、投資用マンションにおける壁紙の貼替費用について解説していきます。
金額や修繕周期の基準から検討する前に、国税庁の質疑応答事例で解説があります。
建物取得時の壁紙の取得価額は、建物の取得価額を構成するものですが、本件の壁紙の張替えは、建物の通常の維持管理のため、又はき損した建物につきその原状を回復するために行われたものと考えられますから、それに要した費用はその全額を修繕費とするのが相当と考えられます。
(国税庁HP:アパートの壁紙の張替費用)
つまり、金額や修繕周期に係わらず、壁紙の貼替費用は、
- 固定資産の通常の維持管理のため
- き損した固定資産につきその原状を回復するため
であることから、支出時の損金として処理することができます。
3.壁紙の貼替費用の勘定科目は?
貼替費用の勘定科目は、
修繕費
として販管費に計上しましょう。
<例>
投資用マンションの一室の壁紙貼替費用として、1,100,000円を普通預金から支払った。
借方 | 貸方 | ||
修繕費 | 1,000,000 | 普通預金 | 1,100,000 |
仮払消費税 | 100,000 |
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、壁紙の貼替費用の会計処理について解説しました。
修繕費か資本的支出かの判断は、経理担当者なら一度は悩んだことがあるでしょう。
かなり曖昧な法令ですが、今回のように国税庁がしっかり解説してくれてるのはありがたいですね。
この質疑応答事例の存在を知っているかどうかは、非常に重要ですので、マンション経営をしている法人や個人事業主の方は、理解しておきましょう。
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