我が国の住宅市場が「フロー型からストック型になる」と言われて早10年以上が経ちました。
まだまだ新築の高層マンションを代表する新築住宅が建設されていますが、中古市場は確実に成長を遂げています。
そこで重要になってくるのが、修繕や改築といった「管理面」です。
当サイトでも「マンション管理士」の重要性をお伝えしてきました。
マンション管理士 試験の難易度は?勉強方法は?マンション管理士の仕事とは
マンション管理士はマンションに特化し、一棟全体の管理・マネジメントが主となります。
それに対し、「ホームインスペクター」は戸建て・マンション・アパート問わず、一部屋から一棟まで幅広くカバーします。
そのため、様々なシーンでの活躍が期待されています。
住宅市場のストック型社会の一番の問題点である「管理面」をミクロな視点でアドバイスする専門家として、これからノビシロの大きい住宅診断士「ホームインスペクター」の魅力を解説していきます。
目次
ホームインスペクターとは
ホームインスペクターとはどのような資格でしょうか?概要をまとめました。
① ホームインスペクターは日本語訳すると「住宅診断士」となります。
② ホームインスペクターはNPO法人日本ホームインスペクター協会(JSHI)運営の民間資格です。
③ ホームインスペクターになるには、
(i) NPO法人日本ホームインスペクターズ協会(JSHI)が実施する試験に合格し、
(ii) 同協会に入会・資格登録することが必要です。
④ ホームインスペクターの業務はホームインスペクション(住宅診断)です。
「住宅診断」とは第三者的・専門的な立場から以下のアドバイスをおこなうことを指します。
(i) 住宅の劣化状況
(ii) 欠陥の有無
(iii) 改修すべき箇所やその時期、おおよその費用など
参考URL:https://www.jshi.org/become/(日本ホームインスペクターズ協会HP)
民間資格ですので、独占業務もありませんし、現状知名度もマンション管理に比べると低いです。
しかしながら、冒頭にもお話した「ストック型住宅市場」においては非常に重要になってくる知見であることは間違いありません。
それでは、筆者がこれほど「ホームインスペクター」を注目・おススメする理由を次章から書いていきます。
おススメ理由① 宅建業法改正により中古取引時の住宅診断に関する説明が義務化!
2018年4月1日から宅建業法改正により、ホームインスペクション(住宅診断)に関する内容が宅建業法に追加されました。
この改正は少し複雑なのですが、実務的には「売主にホームインスペクション(住宅診断)について説明する義務」が発生することが大きなポイントです。
つまり、売主に対し、
という説明をする、ということです。
実施するかどうかは売主の任意ですが、一般に「ホームインスペクション」は浸透していませんから、こういった情報が一般消費者に伝わるというだけでも、ホームインスペクターには追い風です。
とはいえ、この改正が施行されてから1年以上経過していますが、まだまだホームインスペクションの実施状況としては多くないそうです。
しかし、不動産仲介業者の中には、差別化を図るためホームインスペクションをサービスで実施している会社もあります。
例えば、不動産仲介最大手「三井のリハウス」では「360°サポート」というサービスの中で、住宅診断を織り込んでいます。
参考URL:https://www.rehouse.co.jp/support/360/(三井のリハウスHP)
また、建物の劣化や老朽化による空き家問題が今後ますます深刻化していく中で、政府からもさらにホームインスペクションのあっせんが拡大していくことが予想されます。
さらに、レオパレスの施工不正問題も発生しています。実際、不動産業界にいた立場からすると、このような事例は他にも眠っていると思われます。早急に中立な立場からの住宅診断が求められますね。
そうなると、これからホームインスペクターの活躍の場は増えていくのではないでしょうか。
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おススメ理由② マンション投資家の必須知識!自分の物件の収支計画のため
これは、「資格を持っていること」ではなく、「ホームインスペクターとしての知識があること」によるメリットになります。
サラリーマンのマンション経営の実態・意識
年々増加しているサラリーマンオーナーによる賃貸マンション経営。
サラリーマンオーナーの多くが、賃貸の管理会社にお任せ状態ではないでしょうか。さらにその大半が、所有する部屋はおろか、マンション現地さえ見たことない、という状態かと思います。
賃貸マンション経営の経験がない方には信じられないかもしれませんが、それが現実です。
<サラリーマンオーナーが所有するマンションをよく知らない理由>
① ほとんどがオーナーチェンジ物件のため、購入時には入居済みで部屋の中が見れない
② 購入物件が自宅から遠方で見に行くのに時間・費用がかかる
③ 購入した不動産屋・賃貸管理会社から「オーナーは何もしなくていい」という謳い文句で購入した
筆者も3部屋の賃貸マンションを経営しています。
①はどうしようもありませんでした。
②は筆者は東京23区内在住で23区内の物件だったので、さすがに概観・駅周辺は見に行きました。
③はめちゃくちゃ言われました。
「あなたはローンを組むだけで、あとは勝手にローンが返済され、いつかあなたのものになる」
こんな詐欺みたいな営業トークが、彼らの武器なのです。
管理会社に頼りすぎるな!ホームインスペクションで修繕・リフォーム計画!
「管理会社にお任せのマンション経営」の一番のリスクは「修繕計画・修繕費・リフォーム費用」です。
「修繕・リフォーム費用」はマンション経営におけるもっとも大きな出費です。
別記事でも触れましたが、賃貸市場における貸主の立場はどんどん弱くなり、基本的には修繕費用は「原則貸主負担」です。
120年ぶりの民法改正による宅建・賃貸不動産経営管理士試験の影響を再確認!
にもかかわらず、賃貸経営をはじめるサラリーマンオーナーの多くが、どれほどの費用がかかるか具体的に考慮せずに利回りを計算して物件購入しています。
さらに、物件の管理は管理会社にお任せしていても、管理会社はなかなか修繕やリフォームをおススメしてきません。その理由は以下2点です。
① 管理会社の担当がホームインスペクションの知識がない
② 多額の修繕・リフォーム費用を提示して「聞いてない!」とクレームになるのを避けたい
部屋の状態が悪く、新しい入居者がなかなか見つからないことがあります。
その時に管理会社はリフォームを勧めるのではなく、「賃料の値下げ」を勧めてきます。その方が、簡単で、クレームにもなりにくく、管理料も早く入ってくるからです。
このように、信頼している管理会社でも、利害の不一致により賃貸マンションオーナーであるあなたにとってベストな提案をしてくるとは限らないのです。
退去時に必ずホームインスペクション!最低限の出費でおさえるべし
長くなりましたが、「管理会社の提案」と「修繕・リフォームのベストタイミング」が異なるのはお分かりいただけたかと思います。
そのため、あなた自身の目で修繕・リフォームのタイミングを見極める必要があるのです。
その知識を習得する手段として、「ホームインスペクター試験」は非常に優れています。
借主さんが退去し、次の入居者を募集する前のタイミングで必ず部屋を見に行き、
「修繕・リフォームが必要な個所はないか」
「いま必要なくても何年後に必要になりそうか」
「その時の費用はどれくらいかかるか」
「今の状態ならいくらの賃料で申し込みが入りそうか」
これらを確認することが大切です。
修繕は状態が悪くなればなるほど高額になります。
「腐ったミカン」のように、一つの小さな劣化が例えば給排水管や建物構造内部に派生して、大規模な修繕が必要になってしまうことがあります。
そうならないうちに、早めに小さな出費で抑えていく。
そのための知識として「ホームインスペクター試験」は非常に有用です。
ホームインスペクターを検討する方におススメの資格
土地家屋調査士とのダブルライセンスで土地も住宅も安全はお任せ!
インテリアコーディネーターとのダブルライセンスで外側だけなく内側も!
マンション管理士として管理・設備を極めよう!
賃貸不動産経営管理士で賃貸管理のスペシャリストに!
おわりに
いかがでしたでしょうか。
ホームインスペクター試験は、「今後、稼げるノビシロのある資格」であると同時に、住宅にかかわる人間にとって自己研鑽としてもとても役に立つ資格なのです。
当ブログでは、「独立・フリーランス」を目指す人にとって役に立つ資格を主に紹介しています。
「ホームインスペクター」として独立するもよし、「ホームインスペクションの知識のある不動産投資家」として独立するもよし。
ぜひ一度検討してみてはいかがでしょう!