法人(消費税課税業者)が切手を購入したとき、「課税処理」すべきか「非課税処理」すべきか悩むことはありませんか?
おそらく、こう考える方のほとんどが「レシートに『非課税』と記載されているから」かと思います。
目次
そもそも消費税が課税される取引条件とは?
我が国における「消費税」は以下の条件をすべて満たすときに課税されます。
① 事業者が事業として行う取引
⇒ 切手は「日本郵便株式会社」が発行するもので、日本郵便株式会社は事業者です。
② 対価を得て行う取引
⇒ 金銭と切手(郵便行為)が対価の関係にあります。
③ 資産の譲渡等(商品や製品などの販売、資産の貸付け及びサービスの提供)
⇒ 切手の販売および郵送サービスの提供をしています。
④ 国内での取引
⇒ 国内の想定です。
以上のことから、切手の購入には消費税が課税されるように思えます。
切手のレシートに「非課税」と記載される理由
ではなぜ、切手のレシートには「非課税」と記載されるのでしょうか。
それは、消費税法にて「非課税」と定められているためです。
国税庁のHPを見てみましょう。
主な非課税取引
日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡
参考URL:https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/6201.htm(国税庁HP)
なぜ「非課税」かというと、
税法上、切手は金券と同様の扱いで、「切手の譲渡」事態は金銭の対価に該当しません。
この場合の対価となる役務提供は「郵送サービス」になります。
すなわち、消費税が課税されるタイミングは、「郵送サービスを受ける時=切手を使用した時」になるのです。
すると、法人が切手を購入した際の消費税の取扱い(仕入税額控除)については、「切手を使用した時」になりますので、切手を使用状況を常に追って、会計処理を施さなければならないということになります。
実務上、かなり煩雑な処理に思えます。
実態はというと、そのような処理はおこないません。
以下にその理由を記載します。
継続的に購入時課税処理している場合は認められる⁉︎
国税庁Q&Aによると、継続的に購入時課税仕入れとして処理している場合には認められる、とあります。
物品切手の譲渡は非課税とされていますので、それを購入した段階では課税仕入れに該当しませんが、物品又は役務の提供の引換給付を受けた時にその引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなります。
ただし、購入した物品切手で自ら引換給付を受けるものについて、継続して購入する日の属する課税期間における課税仕入れとして処理しているときは、この処理は認められます(基通11-3-7)。
参考URL:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/16/16.htm(国税庁HP)
これは、社会通念上、切手の価格がそれほど高額でないことや、一般的には法人取引において切手の消費サイクルが早いことを配慮しての通達と考えられます。
注意点としては、
① 自ら切手を使用すること(贈答用の購入は非課税)
② 継続的にその処理をおこなうこと
が前提になりますのでご注意ください。
まとめ
とても回りくどい規程になっていますが、基本的に法人取引における切手の購入行為は「自ら使用」がほとんどであると思います。
そのため、そこまで気にすることなく「課税仕入れとして処理」と思っていて差し支えありめせん。
ただし、経理初心者や、伝票起票を営業部門がおこなっている会社においては、レシートに「非課税」と記載されているため、惑わされがちです。
しっかりと経理部門から注意喚起やマニュアル化を行う必要があります。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、切手代の消費税の取り扱いについて解説しました。
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