衛生管理者ってどんな資格?合格率は高いけど需要も高い資格!
目次
衛生管理者の難易度は?
<衛生管理者試験の難易度>
一種・二種:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
1日1時間程度の勉強で1~3ヶ月
過去の合格率・合格者数推移
受験者数は年々増加しており、直近では一種二種合わせて10万人を超えた大人気資格です。
一方で合格率は5割前後とかなり高水準です。受験資格として1年以上の実務経験が必要ですが、独占業務のある国家資格の中では比較的取得しやすい資格といえるでしょう。
衛生管理者試験科目
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衛生管理者ってどんな資格?
資格の位置づけ
衛生管理者は、労働安全衛生法に基づく国家資格です。
社員の健康被害・労働環境の衛生的改善など、社員を病気や疾病から未然に守る予防処理等を担当します。
現在、労働安全衛生法では1事業場当たり常時50人以上が働く場合、衛生管理者を1人以上設置しなければならないと義務付けられています。
1事業場の人数 | 衛生管理者の人数 |
50~200人 | 1人 |
201~500人 | 2人 |
501~1,000人 | 3人 |
1,001~2,000人 | 4人 |
2,001~3,000人 | 5人 |
3001人以上 | 6人 |
厚生労働省が衛生管理者に求める役割は以下のとおりです。
(1) 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
(2) 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
(3) 健康診断の実施その他の健康の保持増進のための措置に関すること。
(4) 労働災害防止の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
等のうち衛生に関する技術的事項の管理を行います。
※厚生労働省HPより引用 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/5.html
また衛生管理者は、最低週に1度は事業場を巡視し、労働環境に有害のおそれがないか、従業員への健康被害への影響はないかを確認し、必要な措置を講じなければならないとされています。
第一種と第二種の違いは?
特に有害物質等を取り扱うことが想定される以下の業種については、第一種衛生管理者のみが選任されることができます。
<第一種のみが可能>
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む。)、
電気業、ガス業、水道業、熱供給業、
運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業
その他の業種については第一種・第二種どちらでも受け持つことができます。
第一種・第二種合格率にそれほどの差はありませんので、余裕がある方は積極的に第一種を受験してみてください。
衛生管理者の受験資格とは?
受験資格はいくつか条件がありますが、
最も多いパターンとしては、「大卒+労働衛生実務経験1年以上」です。
そのほかのパターン、労働衛生実務経験の詳細については以下の公式HPをご参照ください。
参考URL:https://www.exam.or.jp/exmn/H_shikaku502.htm(試験公式HP)
衛生管理者って役に立つの?その業務とは?
第一種を取得して工場などの作業管理業務を!
第一種のみが担当できる業務ですが、製造工場やエネルギーなどのインフラ業、自動車や医薬品製造など、人体に有害な物質を日常業務として扱う仕事は多数存在します。
当然これはやむを得ないことですが、従業員の健康被害を防ぎ、安全な労働環境を構築することは企業側の役割です。
そこで活躍するのが衛生管理者です。
工場での作業・業務フローを把握し、従業員が病気になったり人体に悪影響を与えるようなケースはないか管理します。
問題があれば改善に向けたプランを策定し、経営陣・ライン部門に打診して改善を促していきます。
企業の総務・人事部門での活躍
昨今、企業の離職率・転職率が年々増加しています。
その原因の一つとなるのが「労働環境」の問題です。
工場などの有害業務はもちろんですが、一般的な環境であっても事務所内の温度・湿度・照明・換気・振動・騒音・臭気など様々な要因で従業員の健康が損なわれる可能性があります。
また室内だけでなく、営業社員で外回りが多い場合でも、暑さによる熱中症等の被害や営業車内での環境、出張など遠距離移動のストレスなど、従業員の健康へのケアは多岐に渡ります。
そういった従業員向けに健康診断や産業医などの直接的ケアを立案したり、快適な職場環境づくりに向けたプランを提案したりすることも衛生管理者の役割です。
社員が働きやすい環境を作り、業務効率も上がり、離職率も下がることで従業員のためにも会社のためにもなる、それが衛生管理者の仕事です。
企業のマネージャー研修講師として
昨今の働き方改革により、管理者への研修需要が非常に増えています。
部下への接し方に関する「メンタルヘルス研修」のほか、衛生管理者に求められるような「健康被害」への意識も非常に重要になってきます。
従業員の健康管理は、衛生管理者に求められる役割ではありますが、管理者にとっても部下の健康管理は重要な業務にいるのです。
例えば、体調のすぐれない営業社員を内勤に従事させたり、調子のおかしい工場勤務従業員に業務時間内に病院へ検診に行かせたりといったケアが求められます。
昭和の考えが根付いた管理職に対し、セミナー等を実施して「健康管理」の重要性を説くことも、衛生管理ができる仕事です。
衛生管理者で独立できる?
現状では、「衛生管理者」として独立している方は多くありません。
ただ、労働に対する社会意識が変化しているいま、衛生管理者としてのスキル・経験を活かして独立することは決して不可能ではありません。
労働環境・労務に関する企業コンサルタントとして
前述した「セミナー講師」がまさにそれにあたりますが、企業の意識が変わりつつある今、労務コンサルティングの需要は決して低くありません。
管理者研修を行っている企業も多く、衛生管理者としての経験を活かした講義ができるでしょう。
衛生管理者試験の受験を検討する方におススメの資格
メンタルヘルスマネジメントとのダブルライセンスがおススメ!
衛生管理者は主に「労働環境」を改善することを目的とした資格です。
そのため従業員の心のケアが不足する面があります。
そこで、「メンタルヘルスマネジメント」を取得することで、「労働環境」と「従業員の心のケア」両面をカバーできます。
まさに労務・健康管理のスペシャリストと言えるでしょう。
社労士とのダブルライセンスがおススメ
社労士は労務に関する各種手続きの専門家です。
そこには「労働保険」「社会保険」「健康保険」など、従業員の健康に関する重要な要素が含まれています。
そのため、衛生管理者とダブルライセンスを実現することで、内側からも外側からも従業員のケアをすることが可能になります。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は衛生管理者資格をご紹介しました。
一種二種合わせて毎年4万人以上を輩出していますが、事業場に設置が義務付けられているだけあって求人情報も豊富で、年収も決して低くありません。
昨今の「働き方改革」も衛生管理者にとっては追い風に作用しています。
複数の資格と組み合わせることによっては、さらに力を発揮しますし、ビジネス展開としてもまだまだノビシロがあります。
特に企業のバックオフィスでの経験がある方はマッチする可能性が高いと思われます。
ぜひ一度参考書を手に取って、受験を検討してみてはいかがでしょうか。