宅建試験において「法令上の制限」は8問程度出題されます。
その中で、「国土利用計画法」は毎年1~2問出題されています。
「いろいろな法令の中の一つ」として捉えると覚えにくいですが、単独で見ると非常にシンプルな分野です。
ここに時間をかける必要はありませんので今回、
10分で国土利用計画法をマスターするための解説
を作成しました。ぜひ10分で読んでみてください!
目次
「国土利用計画法」10秒まとめ
① 目的:土地が非常識な値段で売買されて、
不動産価格が高騰することのないよう都道府県知事が見張る!
② 方法:都道府県知事に「事後届出」または「事前届出」
③ 対象:もちろん全部は見切れないので、対象の土地面積を限定
④ 罰則:あります!
「国土利用計画法」の目的は?非常識な高騰を防ぐ!(1分で流し読み)
不動産価格は、他の「モノ」と同様に「需要と供給の関係」によって決まりますが、それは様々な要因によって変動します。
変動した結果のその時々の価格を不動産業界では「相場」と呼んでいます。
この「相場」は過去の取引実績による影響を大きく受けます。
ある地域の土地が、突然高値で取引され、それが「相場」として認識されると、同地域の土地価格がつられて上がることがあります。
これは、
「同じ値段で売れるかも?」
「この値段でないと買えないかも?」
「こんなに上がるなら将来もっと上がるかも?」
といった心理が働くため、と思うとわかりやすいのではないでしょうか。
そういった状況が続いたのが、1980年代の「バブル」です。
バブルを繰り返さないよう、
「相場に影響を与えるような非常識な取引ではないか」都道府県知事が見張る、
というのが「国土利用計画法」の目的です。
「事後届出」「事前届出」とは?(3分でポイントを押さえる)
届出をする人
対象の土地権利取得者(買主)
届け出先
土地の所在する区市町村長を経由して、都道府県知事に届け出る。
届け出る時期
事後届出:契約を締結した日から起算して2週間以内
事前届出:契約締結前(届出日から6週間以内は、届出に係る契約を締結できない)
勧告
事後届出:届出から3週間以内に利用目的の変更・助言を勧告することがある
※ 取引価格の勧告はなし
事後届出:以下の視点で必要に応じて勧告
① 取引価格
② 利用目的
③ 公共・公益施設整備、周辺自然環境の保全
④ 1年以内の転売目的、投機的目的 など
「事前届出」の対象となる条件は?(1分で十分)
より地価上昇の恐れがある地域については、「事前届出」を必要としています。
<事前届出が必要な区域>
① 監視区域:現時点で地価高騰の恐れがある区域
② 注視区域:今後、地価高騰の恐れがある区域
※ いずれも知事が指定します。
「管理区域・注視区域」=「事前届出」
と覚えておきましょう。
「事後届出」「事前届出」の対象となる土地面積(2分でしっかり)
本来はすべての土地取引について審査することが理想ですが、さすがに膨大な取引を全て確認することは不可能です。
そのため、対象の土地面積を以下のように定めています。
<対象の土地面積> ※「監視区域」については都道府県によって異なります
① 市街化区域 2,000平米以上
② ①を除く都市計画区域 5,000平米以上
(主に、市街化調整区域及び都市計画非線引区域)
③ 都市計画区域以外の区域 10,000平米以上
※ 面積の計算は、「権利取得者(買主)が取得する土地の合計」です。
罰則は?(かんたん!50秒!)
6ヶ月以下の懲役又は100万円以下の罰金
<罰則の条件>
① 事後届出を契約から2週間以内にしなかった場合
② 事前届出を契約前にしなかった場合
③ 虚偽の届出をした場合
過去問でおさらい!(1問1分)
2017年度過去問
次の文章は正しいか。
国土利用計画法によれば、市街化区域内の3,000㎡の土地を贈与により取得した者は、2週間以内に、都道府県知事 (地方向治法に基づく指定都市にあっては、当該指定都市の長)に届け出なければならない。
⇒ ×
「贈与」は対象ではありません。
目的で解説しましたが、「非常識な高値取引による地価の高騰」を抑制するものですので、「贈与」は対象外となります。
2016年度過去問
次の中で正しいのはどれか。
1.市街化区域内の土地 (面積2,500㎡)を 購入する契約を締結した者は、その契約を締結した日から起算して3週間以内に事後届出を行わなければならない。
2.Aが所有する監視区域内の土地 (面積10,000㎡)をBが購入する契約を締結した場合、A及びBは事後届出を行わなければならない。
3.都市計画区域外に所在し、一日の土地である甲土地 (面積6,000㎡)と乙土地 (面積5,000㎡)を購入する契約を締結した者は、事後届出を行わなければならない。
4.市街化区域内の甲土地 (面積3,000㎡)を購入する契約を締結した者が、その契約締結の1月後に甲土地 と一団の土地である乙土地 (面積4,000㎡)を購入することとしている場合においては、甲土地の事後届出は、乙土地の契約締結後に乙土地の事後届出と併せて行うことができる。
<解答・解説>
1.誤り。3週間以内ではなく2週間以内
2.誤り。事後届出を行うのは買主のため、「A及びB」ではなく「A」が行う。
3.正しい。合計で面積10,000㎡を超えるため事後届出の対象となる。
4.事後届出は2週間以内に行う必要があるため、1か月後の乙土地購入には間に合わない。
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