【勘定科目】企業YouTubeにかかる費用ってどんなもの?会計処理は?

 

昨今、多くの企業がYouTubeを活用した企業活動を行っています。

その多くが企業PR・自社商品PRを目的としており、従来のテレビCM・チラシ広告などに変わる新たな広告手法となっています。

 

また、YouTubeは登録者数・再生者数が一定数を超えると、広告収入が発生します。

この広告収入を目的としてYouTubeを活用する企業も少なくないでしょう。

 

今回は、企業が作成するYouTubeにかかる費用の内容と、その勘定科目・会計処理について詳細に解説していきます。

 

 

目次

YouTubeにかかる費用って何?

企業がYouTubeにアカウントを作成し、動画をアップロード・公開すること自体にはコストは発生しません。

しかし、「動画を制作する」ところには当然コストが発生します。

 

① 動画制作の外注費、出演費等
② 社内エンジニアが制作した場合の人件費
③ 動画編集ソフトのライセンス
④ 動画編集用の機材・パソコン

 

以上が、想定される費用です。

今回はこれらのコストについて解説してきます。

 

 

 

YouTube制作費用の勘定科目は?

① 動画制作の外注費、出演費等

多くの企業が、広告代理店などを通じて外部に制作を委託します。

また、動画に有名人をキャスティングして出演してもらう場合には、出演費が掛かります。

すると、委託した業者に対し、外注制作費や出演費を支払うことになります。

 

その場合の勘定科目ですが、YouTubeの目的で科目を分ける必要があります。

A.企業PR・商品PRを目的とした動画

広告宣伝費または販売促進費に計上しましょう。

  • 一般的な企業PR・商品PRの場合は広告宣伝費
  • 商品のキャンペーン動画などの場合には販売促進費

に計上することが一般的です。

 

ただし、広告宣伝費・販売促進費はいずれも「販売費および一般管理費」です。

対外的には大きな違いでないため、社内の管理会計上、適切な方に区分すれば問題ありません。

社内の計上ルールに従って計上しましょう。

 

 

B.YouTubeの広告収入を目的とした動画

YouTubeから発生する広告収入を目的とする場合、その制作費は「制作原価」となります。

広告宣伝費や販売促進費などの「販売費および一般管理費」とは損益計算書の区分が異なります

 

売上原価の勘定科目は、会社によって異なりますので、各社のルールに従って計上しましょう。

「制作原価」などの科目がない場合には、新たに科目を新設することも検討してください。

ただし、金額的に重要性が乏しければ、他の売上原価科目に含めても差し支えありません。

 

判断に窮する場合には、顧問税理士・会計士にご相談ください。

 

 

② 社内エンジニアが制作した場合の人件費

社内にYouTube動画を制作できるようなエンジニアがいる場合には、内製化することもあります。

その場合でも、「人件費」がかかります。

A.企業PR・商品PRを目的とした動画

広告宣伝・販売促進を目的とする場合には、社内エンジニアの人件費は、そのまま「人件費」として計上して問題ありません。

特に会計処理は不要です。

 

 

B.YouTubeの広告収入を目的とした動画

広告収入を目的とした動画を制作する場合には、それにかかる費用は「売上原価」になります。

そのため、制作に関わった社内エンジニアの人件費も、「売上原価」に区分する必要があります

売上原価の勘定科目の名称等は会社によって異なりますので、自社ルールに従った科目に区分しましょう。

 

<例>
4月、社内エンジニアAに給与を支払った。なお、当月は社内エンジニアAが「広告収入を目的としたYouTube制作」を行った。
・Aの4月業務は、YouTube制作に関わる業務が6割、その他の管理業務が4割
・Aの4月給与は500,000円だった

 

借方 貸方
給与手当(原価) 300,000 普通預金 500,000
給与手当(販管費) 200,000    

 

 

③ 動画編集ソフトのライセンス

自社で動画制作する場合に、動画編集ソフトを購入することがあります。

金額が10万円または20万円を超えると資産計上する必要があるため、注意が必要です。

 

ソフトウェアの取得価額によって、以下の通り区分します。

  • 10万円未満:販売費及び一般管理費のシステム費・消耗品費
  • 10万円以上20万円未満:一括償却資産(3年間で年均等償却、販管費で償却)
  • 20万円以上:ソフトウェア(5年間で定額法償却、販管費で償却)

 

 

なお、動画編集ソフトの場合には、YouTubeの広告収入を目的とした動画制作であっても、費用は販売費及び一般管理費に計上して差し支えないと考えます。

これは、当該ソフトの使用用途が「YouTube制作のみ」に限定するとは言えないためです。

 

もし明確に区分できる場合には、売上原価として計上することも可能です。

 

 

④ 動画編集用の機材・パソコン

自社で動画制作する場合に、動画編集用の機材・パソコンを購入することがあります。

ソフト同様、金額が10万円または20万円を超えると資産計上する必要があるため、注意が必要です。

 

機材・パソコンの取得価額によって、以下の通り区分します。

  • 10万円未満:販売費及び一般管理費の消耗品費
  • 10万円以上20万円未満:一括償却資産(3年間で年均等償却、販管費で償却)
  • 20万円以上:工具器具備品(法定耐用年数で定額法償却、販管費で償却)

 

 

なお、動画編集用の機材・パソコンの場合には、YouTubeの広告収入を目的とした動画制作であっても、費用は販売費及び一般管理費に計上して差し支えないと考えます。

これは、当該機材・パソコンの使用用途が「YouTube制作のみ」に限定するとは言えないためです。

 

もし明確に区分できる場合には、売上原価として計上することも可能です。

 

 

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。

今回は、企業がYouTube動画を制作した際にかかる費用について解説しました。

 

ポイントは以下の3点です。

  • 目的が「広告・販促」か「YouTube広告収入」か
  • 制作は「外注」か「内製」か
  • 資産に該当するかどうか

 

少し複雑に見えますが、多くの場合は、

広告宣伝を目的として、外注で制作するもの

だと思います。

 

このケースであれば「広告宣伝費」または「販売促進費」となりますので、シンプルです。

 

それ以外のケースは、少し複雑になりますので、しっかり確認しておきましょう。

 

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