通勤費は、ほとんどの法人で支給されているかと思いますが、税務面で論点が多数あります。
一番注意が必要なのが、給与課税です。
こちらは所得税の論点であり、社労士・税理士など幅広い領域で解説されています。
一方で、消費税については、あまり気にされていない経理担当の方も多いのではないでしょうか。
所得税と似ているようで、大きく異なる点がありますのでしっかり押さえておく必要があります。
そこで今回は、通勤費に係る消費税の取扱いについて解説していきます。
目次
1.通勤費は一定金額を超えると給与課税される
通勤費に係る消費税の取扱いを見る前に、所得税の論点をおさらいしておきます。
通勤費は原則非課税(給与に該当しない)となりますが、上限が定められています。
平成28年1月1日以後に適用された規定では、
交通機関の定期券・有料道路については月額15万円までは非課税とされています。
参考:国税庁HP:通勤手当の非課税限度額の引上げについて
つまり、新幹線通勤の従業員などは、15万円を超える部分については「給与」として所得税がかかってしまうということです。
2.通勤費は仕入税額控除できる?
消費税法基本通達における通勤費の規定は以下の通りです。
11-2-2 事業者が使用人等で通勤者である者に支給する通勤手当(定期券等の支給など現物による支給を含む。)のうち、当該通勤者がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとした場合に、その通勤に通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れに係る支払対価に該当するものとして取り扱う。
参考:国税庁HP:第2節 課税仕入れの範囲
また、国税庁質疑応答によると、
事業者が使用人等に支給する通勤手当(通勤定期等の現物による支給を含む。)のうち通勤のために通常必要とする範囲内のものは、所得税法上非課税とされる金額を超えている場合であっても、その全額が課税仕入れに該当するものとして取り扱います(基通11-2-2)
参考:国税庁HP:通勤手当、住居手当
とあります。
要約すると、
- 給与課税されない通勤費(月15万円以下) ⇒ 仕入税額控除○
- 給与課税される通勤費(月15万円を超える部分) ⇒ 仕入税額控除○
- 通常必要とされない通勤費 ⇒ 仕入税額控除×
となります。
「通常必要とされない通勤費」とは、例を挙げると、
- 私的な理由で遠回りなルートを選択している場合
- 合理的な理由なくグリーン車等を利用した場合
などが該当します。
合理的な理由があれば、新幹線代は問題ありません。
ですので、特にやましいことがなければ、通勤費は仕入税額控除可能と思っておいて問題ないでしょう。
3.まとめ:仕訳で確認
<例>
従業員の給与等として、基本給10,000,000円、通勤費55,000円を普通預金から支払った。なお、社会保険料・所得税・住民税は考慮しない。
借方 | 貸方 | ||
給与手当 | 10,000,000 | 普通預金 | 10,055,000 |
通勤費 | 50,000 | ||
仮払消費税 | 5,000 |
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、通勤費に係る消費税の取扱いについて解説しました。
所得税に比べると、通勤費は消費税に係る処理について注目されづらいです。
しかし、ふと人事部門から「給与課税されるのですが」
と質問されたときに、自信をもって、
「消費税は関係ありません」
と答えられる経理担当者は少ないかもしれません。
マイナー論点ですが、ぜひおさえておいて、ワンランク上の経理担当者を目指しましょう。
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