ビジネス会計検定試験の難易度は?どんな資格?経理歴10年が勧める理由

ビジネス会計検定試験の難易度は?どんな資格?経理歴10年が勧める理由

 ビジネス会計検定は、すべてのビジネスパーソンに必要な「決算書を読み解き、分析する力」を養う検定です。

 私は経理・財務部門で経理業務に携わって10年になりますが、ハッキリ言えるのは経理実務に携わらないビジネスパーソンは、

 「簿記よりビジネス会計検定を学習せよ!」ということです。

 この記事では、ビジネス会計検定試験やその内容、私がここまでおススメする理由を書いていきます。

目次

ビジネス会計検定の難易度は?

他の試験と比較した難易度

ビジネス会計検定3級      ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 1日1時間程度で1~3ヶ月
ビジネス会計検定2級      ★★★☆☆☆☆☆☆☆ 1日1時間程度で3~6ヶ月
ビジネス会計検定1級      ★★★★★☆☆☆☆☆ 1日1時間程度で6ヶ月~1年間
【参考】
 測量士補試験         ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 1日1時間程度で1~3ヶ月
 日商簿記検定3級       ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 1日1時間程度で1~3ヶ月
 賃貸不動産経営管理士     ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 1日1時間程度で1~3ヶ月
 DCプランナー2級        ★★☆☆☆☆☆☆☆☆ 1日1時間程度で2~4ヶ月
 日商簿記検定2級       ★★★☆☆☆☆☆☆☆ 1日1時間程度で3~6ヶ月
 FP2級              ★★★☆☆☆☆☆☆☆ 1日1時間程度で3~6ヶ月
 宅地建物取引士(宅建)    ★★★★☆☆☆☆☆☆ 1日1時間程度で3~9ヶ月
 管理業務主任者        ★★★★☆☆☆☆☆☆ 1日1時間程度で3~9ヶ月
 マンション管理士       ★★★★★☆☆☆☆☆ 1日1時間程度で6ヶ月~1年間
 行政書士           ★★★★★★☆☆☆☆ 1日2時間程度で6ヶ月~1年間
 中小企業診断士        ★★★★★★☆☆☆☆ 1日2時間程度で6ヶ月~1年間
 社会保険労務士        ★★★★★★★☆☆☆ 1日3時間程度で6ヶ月~1年間
 土地家屋調査士        ★★★★★★★★☆☆ 1日3時間程度で1~2年間
 税理士・公認会計士      ★★★★★★★★★★ 1日3時間程度で…数年!!
 ※あくまでも一般的な基準です。個人差がありますのでご注意ください。

 

過去の合格率・合格者数推移

 受験者数は1~3級合計で年間1万人程度と、まだメジャーな資格とは言えません。
 日商簿記検定は年間約40万人ですので文字通り”桁違い”です。

 しかし、詳細は後述しますが簿記は「作成」、ビジネス会計は「分析」の能力を問われる検定ですので、活用するビジネスパーソンは「ビジネス会計」のほうが圧倒的に多いはずです。

 徐々にではありますが、資格の知名度も上がり受験者数も増えてきています。

 今後、日商簿記検定と同じくらいの知名度・受験者数を誇る人気資格になってほしいものです。

 

 

ビジネス会計検定試験科目

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ビジネス会計検定ってどんな資格?

資格の位置づけ

 ビジネス会計検定は、 大阪商工会議所が主催する公的資格です。

 会計に関する資格は「日商簿記検定」が有名です。
 

 簿記は「財務諸表を作成すること」を目的とした検定内容です。その結果として、財務諸表の仕組みが分かってきます。
 しかし、財務諸表の仕組みが分かっても「分析する力」は身に付きません

 例えば、

A社の当期の営業利益は〇〇円で営業利益率は●●%、純資産の額は△△円で純資産比率は▲▲%だった

 

 という事実は分かりますが、「だからなに?」といった感じですね。
 簿記では、この「営業利益や純資産の数値をつくる」能力を身に付けるものです。

 一方でビジネス会計検定では、すでに作成された決算書を「分析する力」を身に付けるものです。

 上記の例で見ると、算出された営業利益率を同業他社と比較して分析したり、純資産比率や他のBS勘定からその企業の安定性を確認するといったことが一例です。

 財務諸表を分析すると同時に「評価する」といった側面があります。

 

 

各級ごとの到達目標・対象者

 「分析・評価」のレベルや目的は級ごとに異なります。

<各級の到達目標>(検定公式HPより引用)
3級:会計の用語、財務諸表の構造・読み方・分析等、財務諸表を理解するための基礎的な力を身につける。
2級:企業の経営戦略や事業戦略を理解するため、財務諸表を分析する力を身につける。
1級:企業の成長性や課題、経営方針・戦略などを理解・判断するため、財務諸表を含む会計情報を総合的かつ詳細に分析し企業評価できる力を身につける。

 

 到達目標・試験範囲から見る各級の対象者は以下の目安で考えていただくといいでしょう。

<3級>
① 就職・転職を考える企業の財務状況を調べたい方
② 法人取引を行うB to Bビジネスマン

<2級>
① 企業の経営管理部門の担当者
② 営業部門・管理部門の責任者

<1級>
① 経理部門・経営管理部門の責任者
② 経営者
③ M&Aをはじめとする経営コンサルタント

 

 まずは3級からはじめて、自分の目指すべきポジションに応じて上級を目指していくのが良いでしょう。

 

 

ビジネス会計検定の受験資格とは?

 受験資格はありません。
 どなたでも受験できます。

 

ビジネス会計検定って役に立つの?その業務とは?

 ビジネス会計検定は業務独占資格ではないため、「取得しないとこの仕事ができない」というものではありません
 試験勉強で知識を獲得し、その知識の有無を証明するためのものです。

 そのため特定の職業・業務だけでなく、幅広いビジネスパーソンの役に立ちます。
 その例を以下に紹介していきます。

3級レベル:就職・転職を考える企業の財務状況を調べたい方

 ビジネスマンではありませんが、自身がこれから働こうとしている会社の財務体質を知ることは非常に重要なことです。

 ベンチャー気質な方を除き、「入社した会社がいつ潰れてもいい」という人はいないでしょう。
 ある程度の安定は重要ですし、目先の業績は賞与などのインセンティブにも関わってきます。

 またさらに分析能力が付けば、BSの動きや在り方から、


この会社は借入をしてでも設備投資をするアクティブな経営だ

剰余金をため込んでいるから社員への還元は少ないかも

 などといった経営方針の予測を立てることもできるようになってきます。

 この知識・スキルはもちろん入社後も活きてきますので、大学生や転職を志す社会人の方にもおススメです。

 

 

3級レベル:法人取引を行うB to Bビジネスマン

 B to B企業に勤めるビジネスマンであれば、対法人との取引は必ず行うかと思います。

 営業部門において、クライアント企業の財務状況を把握することは非常に重要です。
 高額な発注を受け納品後に「実は自転車操業で払える財力がありませんでした」などということになれば大問題です。

 クライアントの「与信審査」にも相手企業の決算書は多く活用されています。
 与信審査とは、クライアント企業の財務状況・経営状況を事前に調べ「いくらまで売掛金取引をしていいかを審査する」ことです。

 指標はいくつかありますが、例えば、

平均の現預金残高が流動負債2ヶ月分以上あるか
流動比率が●%で、業種的に適当か否か

 

 など、簿記では得られない知識が必要になります。

 こういった実務的な分析力をビジネス会計検定では養うことができます

 

 

2級レベル:企業の経営管理部門担当者

 ここまでは主に第三者企業の分析視点でしたが、もちろん自社の経営管理に携わり、決算書から今後の事業計画・事業企画を行う担当者にとってもビジネス会計検定の知識は有効です。

 経理部門が作成した決算書をもとに、損益計算書から重点事業を決定したり、貸借対照表から投資資金を決定したり資金調達を検討したりと、活用方法は多岐に渡ります。

 決算書の分析ができない経営管理担当者にありがちなのが、事業部門・営業部門へのヒアリングのみで事業計画を策定しまうことです。

 事業部門・営業部門の策定する自部門の事業計画は主観的であり、会社全体の動きが捉えられていないことがほとんどです。

 例えば、融資を受けるにあたっての限度額の計算などは、当然会社全体の決算書から判断されますが、事業部門・営業部門においてはそこまで計算に入れていません。
 事業ごとに分析することも大切ですが、第三者に見せる業績を作り上げていくには、「会社全体の数字」で判断しなければならず、決算書の分析は必須になってきます

 また、全社的な費用(販売管理費等)についても、事業部門・営業部門においては管理外になっている会社が多いため、営業利益率の分析は経営管理部門が行う必要があります。

 経営管理部門の担当者は、単に一つ一つの事業を伸ばすだけでなく、「第三者に見せる決算書を作るための経営管理」を意識しなければならないのです。

 

 

1級:経理部門・経営管理部門の責任者、経営者

 当然ですが、経営者等は自社の財務状況や、同業他社の決算書等を参考にしながら経営をしていきます。

 事業性能を図る上でも、融資・設備投資・運用などあらゆることを検討するうえで、決算書の緻密な分析が必要になります。

 これはただ「決算書が読める」というだけでは不十分です。

 ビジネス会計検定で学習する様々な指標から自社の財務状況・経営状況を分析し、また他社を分析し、経営に活用していくのです。
 ただただ売上を追い求めていく古い体質の経営者は、次々に淘汰されている現状です。
 経営者や経理部門等の責任者にとってビジネス会計は必須の知識と言ってもいいでしょう。

 また、他社との交流においてこういった会話は日常で行われますので、知らないと信頼も落としますし、恥をかくことにもなります。

 

 

ビジネス会計検定で独立できる?

 ビジネス会計検定は業務独占資格ではありません。その知識を活用したり、アピールするための資格です。
 あなたが経営者や経営コンサルタントとして独立する際に役に立つでしょう。

起業家・経営者の最低限のスキルとして

 前述したとおり、経営者には最低限必要な知識・スキルです。
 自社や同業他社などの決算書を分析し、あなたの会社が今後進むべき道を考えていきましょう。

 

 

M&A経営コンサルタントとして

 「経営コンサルタント」として独立する場合にも当然決算書分析能力は必要です。

 特に、最近流行りのM&Aを行ううえでもビジネス会計検定の知識は必須になってきます。
 M&Aを行ううえで対象となる企業の善し悪しの判断基準は主に「決算書」です。

 単に「利益がいくら」「現預金がいくら」「借入金がいくら」「資本金がいくら」という知識だけでは論外です。

 あらゆる視点・角度から決算書を読み解き、同業他社などの決算書とも比較し、緻密に売買の適正価格を判断しなければ大損をしてしまうことにつながりかねません。

 ビジネス会計検定の知識をベースに、経営コンサルタントとして経験を積んでいくのがいいでしょう。

 

 

投資家にも必要なスキル!

 あなたは株式投資はやっていますか?

 少しだけかじっている、という程度の方であればそこまで気にしていないかもしれませんが、投資先の決算書を分析して投資先を選定するのが鉄則です。

 証券会社のHPなどを見ると、必ず投資先会社の決算状況が掲載されています。

 「とりあえず投資しなきゃ…」という程度であればよいですが、

 「投資家として一般の会社員程度稼ぎたい」

 「投資家を本業にしたい」

 という方には、ビジネス会計検定の知識は必須になります。

 

 

ビジネス会計検定試験の受験を検討する方におススメの資格

経営管理知識を活かして企業コンサルを目指すなら!

 

やはり分析だけでなく決算書を作成する過程も勉強したいなら!

 

経営において法務知識は必須!経営者を目指すなら!

 

経営管理から人事まで一気通貫でこなせるバックオフィスのスペシャリストへ!

 

昨今の経営管理にIT知識は必須!

 

 

 

おわりに

 いかがでしたでしょうか?
 ビジネス会計検定は日商簿記検定に比べて知名度は低いですが、必要なビジネスマンはビジネス会計検定の多いかと思います。

 あらゆるビジネスマンにとって知っておいて損はない知識ですので、ぜひ一度参考書を手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

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