固定資産に関する会計処理で、経理泣かせなものに
修繕費と資本的支出
の判定があります。
正しく会計処理をおこなわないと、税務上損金と認められず、税務調査で追徴課税されてしまうリスクがあります。
その中でも、外壁などの塗装が経年劣化により塗り直した場合の費用については、一見修繕費に思えますが、「資本的支出」として「資産計上」が必要になる可能性があります。
今回は、外壁塗装代の会計処理・勘定科目について解説していきます。
目次
資本的支出と修繕費の区分
まずは国税庁が通達している「資本的支出と修繕費」についておさらいしておきましょう。
国税庁法令解釈通達「第8節 資本的支出と修繕費」を参考にします。
(資本的支出の例示)
7-8-1 法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が資本的支出となる(後略)
つまり、「修繕行為」であっても、結果的に耐久性を高めるような修繕の場合には資産計上する必要があるということです。
イメージ的には、
- マイナスをゼロに戻す修繕 ⇒ 修繕費
- マイナスをプラスに変える修繕 ⇒ 資本的支出
ということになります。
他方、以下の通達もあります。
(少額又は周期の短い費用の損金算入)
7-8-3 一の計画に基づき同一の固定資産について行う修理、改良等が次のいずれかに該当する場合には、(中略)修繕費として損金経理をすることができるものとする。
(1)その一の修理、改良等のために要した費用の額が20万円に満たない場合
(2)その修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかである場合
1件20万円未満または、3年以内の周期で同様の修繕が必要になる場合には、修繕費として損金毛上できます。
「資本的支出になる外壁塗装」と「修繕費になる外壁塗装」
資本的支出になる条件は分かりましたが、外壁塗装においてはどういった場合に該当するのでしょうか。
まず、通達と照らして以下の場合には修繕費として損金計上可能です。
- 剥げた塗装をペンキ等で塗り直す
- ひび割れを塗装で隠す
- 割れたタイル等を張り替える
- 元々と同様の素材で修繕する
これらは「マイナスをゼロに戻す修繕」になります。
一方で、
- モルタル塗装をタイル張りに変更
- 防水加工・特殊加工など上質な塗装
- 元々より明らかに高額な素材を使用
といった補修を施す場合で、20万円を超えるときには資本的支出になりますのでご注意ください。
また、「元々より明らかに高額な素材を使用」という部分については、以下の通達を考慮します。
(資本的支出と修繕費の区分の特例)
7-8-5 一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合において、法人が、継続してその金額の30%相当額とその修理、改良等をした固定資産の前期末における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これを認める。
わかりにくい文章ですが、
例えば、
今回の外壁塗装が200万円で、元々の固定資産取得価額が1,000万円のとき
① 外壁塗装 200万円 × 30% = 60万円
② 取得価額 1,000万円 × 10% = 100万円
なので、少ない方である①60万円が修繕費となり、140万円分が資本的支出となります。
外壁塗装代の勘定科目は?
以上の判断をもとに、
修繕費に該当する場合は「修繕費」「資産維持修繕費」「雑費」などの科目に計上し、
資本的支出に該当する場合には、「建物」「建物付属設備」など、当該固定資産と同様の科目に計上しましょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、外壁塗装の会計処理について解説しました。
資本的支出と修繕費の取扱いについては、外壁塗装以外にも使いますので、知っておいて損はない知識です。
基本的には外壁塗装代は「修繕費」で問題ないですが、あまりに高額な塗装代の見積もりが上がってきたのときには、注意して確認すると良いでしょう。
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