賃貸マンションなど、住宅の貸付けにかかる賃料が非課税であることは有名かと思います。
この場合の“賃料”には、共益費や礼金・敷引き※など、賃料に付随する費用も非課税として含まれます。
※敷金のうち、返還不要とされる部分
では、退去時に現状回復費用に充当するために敷金から差し引かれる部分の消費税はどうなるのか、今回解説していきます。
目次
1.賃貸に係る費用の消費税おさらい
(1) 住宅の貸付は非課税⇒条文で確認
まず前提として、住宅の賃貸に係る費用は「非課税取引」として消費税を課さないとされています。
これは消費税法別表1(非課税取引)に列挙されているためです。
<消費税法>
■第六条 国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第一に掲げるものには、消費税を課さない。
■別表第一 第13項
住宅(人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分をいう。)の貸付け(当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされている場合(当該契約において当該貸付けに係る用途が明らかにされていない場合に当該貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合を含む。)に限るものとし、一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)
条文は回りくどい表現になっていますが、要約すると「住宅の貸付けは非課税です」ということです。
(2) 「住宅の貸付け」の範囲
ここでいう「住宅の貸付け」は「賃料」だけではありません。
あくまで貸付けに係る対価が対象ですので、共益費や礼金などの権利金も非課税となります。
また、国税庁のタックスアンサーによると、
住宅用建物の賃貸借契約の締結や更新に伴う保証金、権利金、敷金または更新料などのうち、返還しないものは非課税となります。
(引用:国税庁HP(No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など))
つまり、住宅に係る賃料・共益費・礼金のほか、敷金などのうち返還不要とされる部分(敷引き)についても非課税とされます。
ただし、あくまで住宅用に限定されていますので、事務所や店舗など事業用賃貸は非課税ではなく課税となります。
2.敷金・保証金から引かれる原状回復費用は課税?非課税?
住宅に係る費用には他にも、
「退去時に敷金・保証金から引かれる原状回復費用」
があります。
これについては、国税庁からの通達があります。
建物の賃借人には、退去に際して原状に回復する義務があることから、賃借人に代わって賃貸人が原状回復工事を行うことは賃貸人の賃借人に対する役務の提供に該当します。
したがって、保証金から差し引く原状回復工事に要した費用相当額は課税の対象となります。
(引用:国税庁HP(建物賃貸借に係る保証金から差し引く原状回復工事費用))
つまり、
- 原状回復は本来借主の義務
- 借主がすべきことを貸主が行っている
- 貸主の借主に対する「原状回復業務」の対価に該当する
⇒住宅の貸付けに対する対価ではないため、課税
ということになります。
3.まとめ
賃貸に係る費用の消費税についてまとめると以下のようになります。
取引内容 | 住宅 | 事務所・店舗 |
賃料・共益費 | 非課税 | 課税 |
礼金 | 非課税 | 課税 |
敷引き | 非課税 | 課税 |
原状回復費用 | 課税 | 課税 |
いかがでしょうか?
単に表を暗記しても良いですが、
「なぜ非課税なのか」「なぜ課税なのか」
を理解すると、しっかり身につきますのでおススメですよ。
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