介護福祉士と社会福祉士は、いずれも社会福祉士及び介護福祉士法を根拠法とする国家資格です。
福祉系の3大国家資格とも呼ばれ、合計で毎年10万人を超える受験者がいる人気資格となっています。
その名前から、どちらも介護施設や社会福祉施設の職員といったイメージが強い資格ですが、どういった違いがあるのでしょうか。
それらの役割、試験科目、難易度などからあなたにあった資格を見つけてみてください。
なお、それぞれの詳細については別記事で書いてありますので、参考にしてみてください。
目次
介護福祉士と社会福祉士 役割の違いは?
どちらも、
社会的マイノリティ、ケガ人や病人、要介護者を支援する
という目的に違いはありません。
もっとも大きな違いは支援の方法です。
介護福祉士:主に介護を中心とした直接的な援助
社会福祉士:主に相談を中心とした間接的な援助
介護福祉士は、その名のとおり介護の現場において、要介護者の食事・入浴・排泄・掃除といった身の回りの支援を行います。
一方で社会福祉士は、介護やリハビリの現場における相談はもちろん、入退院時の支援や社会復帰に向けた支援、療養中の心理的・社会的問題に関する相談・解決を行います。
イメージとしては、
・現在の問題を解決するのが介護福祉士
・将来の問題を解決するのが社会福祉士
といった感じでしょうか。
介護福祉士と社会福祉士 職場の違いは?
では、働く環境・職場の違いはどうでしょうか。
選択肢としてはどちらも大差ありません。
介護福祉士は利用者の身の回りの生活支援をすることがメイン業務のため、デイサービスや病院といった介護施設や訪問介護が多くなります。
社会福祉士も同様ですが、どちらかというと大学病院などの大規模施設や、リハビリテーション病院などでの支援のほか、特別支援学校や放課後等デイサービスといった障がいを持つ子どもの支援現場で働くことが多くなります。
また、社会福祉士には病院内での医師などとの連携や他施設・自治体との連携・調整役としての役割も求められますので、様々な場所に出向くことも多くなるでしょう。
とはいえ、どちらも法的に明確な領域のちがいがあるわけではないので、介護福祉士も相談業務をしますし、社会福祉士も直接的な介護業務をします。
共通の目的をもった資格ですので、「自分の領域はここまで!」と決めつけず、利用者にとって最適な支援をすることが求められます。
介護福祉士と社会福祉士 試験の難易度の違いは?
介護福祉士も社会福祉士も、試験受験のための受験資格が必要になります。
いずれも複数のルートがありますが、主に、
介護福祉士は福祉系高校での単位取得や実務経験および研修など
社会福祉士は福祉系大学での単位取得や実務経験および養成講座など
が必要とされます。
詳細はこちら↓
介護福祉士の受験資格
社会福祉士の受験資格
福祉系大学の単位取得が条件になっている分、社会福祉士の方が難関と言えます。
また、試験合格率も、
介護福祉士は70%前後
社会福祉士は25~30%前後
となっています。
ここからも社会福祉士の方が難関と言えるでしょう。
介護福祉士と社会福祉士 試験科目の違いは?
介護福祉士試験科目
介護福祉士の試験科目は、人のカラダやココロの仕組みであったり、医療的な側面であったりと、より介護実務に即した内容が出題されます。福祉における「ハード面」の試験と言えます。
社会福祉士試験科目
一方で社会福祉士は、社会的マイノリティに対する支援制度・サービスなど、社会福祉における「ソフト面」に関する出題と言えるでしょう。
介護福祉士と社会福祉士 どういう人が向いてる?
ここまで、介護福祉士と社会福祉士に求められる役割の違いを解説してきました。
そのうえで、それぞれどのような人が向いているのでしょうか。
介護福祉士に向いている人
介護福祉士は、要介護者の方々と心身ともに密接して関わることが多い仕事です。
常に相手に寄り添い、今や将来に向けて要介護者やそのご家族にとって最適な支援を行っていく必要があります。
社会福祉士も現場に近いことは間違いないのですが、食事や入力、排泄といった日々の生活の援助をより多く経験するのは介護福祉士です。
そのため、より現場に近いところで働きたい方が向いているでしょう。
当事者たちと直接関わることで、社会貢献をしていき、それに喜びを感じられる方にとっては理想的な仕事と言えます。
社会福祉士に向いている人
社会福祉士は、福祉の現場での経験を活かして、要介護者などの社会的マイノリティにとって生きやすい社会・環境づくりをすることが求められる仕事です。
そのため、介護や支援を必要とする「今」だけでなく、「将来」により目を向ける必要があります。
支援を必要としている人が、「今求めていること」だけでなく、「将来社会復帰するために必要なこと」を考え、提案していきます。
それは自分一人の力だけではなく、病院・医師や自治体などの協力も不可欠です。そういった第3者コミュニティと連携するパイプ役としての資質も求められます。
また、経験を積めば福祉施設や団体の管理者・責任者として、要支援者ひとりひとりだけでなく、全体の仕組みづくりをすることも可能です。
ゆくゆくのキャリアプランとして、「福祉全体を見たい」という方にとっては、「社会福祉士」は適任と言えるでしょう。
介護福祉士と社会福祉士 年収の違いは?
社会福祉士のほうがやや難関資格ではありますので、求人は社会福祉士の方が待遇が良い傾向があります。
ただ、業務独占資格があるわけではありませんので、資格によってそれほど年収に差はありません。どちらかというと経験やコネクションによる影響が強いでしょう。
いずれもはじめは年収250~350万円が相場です。
一方で、施設の管理者であったり、大きな病院で医療ソーシャルワーカーで管理職や責任者になれば、600万以上も可能です。
前述したとおり、組織の管理者や仕組みづくりをする立場を目指すのであれば、社会的信頼のある「社会福祉士」を取得することがおススメです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、介護福祉士と社会福祉士の違いについてご説明してきました。
どちらも社会福祉士及び介護福祉士法を根拠法とする国家資格で、運営母体も同じであることから、似た性格の資格と思われがちです。
実際、資格によってできることやできないことがある訳ではありませんが、その求められる役割は大きく異なります。
理想を言えば、いずれも取得し、マルチプレイヤーとして活躍することが望ましいでしょう。
最後に、社会福祉士として「仕組みづくり」をしたい方におススメの資格をご紹介しましょう。
東京商工会議所が運営する公的資格「福祉住環境コーディネーター」です。
社会福祉士とのダブルライセンスで、より効果を発揮しますので、ぜひ検討してみてください。