管理業務主任者試験の難易度は?管理の仕事を徹底解説!②
目次
管理業務主任者って役に立つの?その業務とは?
マンション管理会社にて「管理業務主任者」として従事した場合、どのような業務を行うのか見ていきましょう。
多くの管理会社では、一つのマンションにつき1~3名の従業員(全員が管理業務主任者でない場合もある)を担当させます。
マンションの規模にもよりますが、1人当たりいくつかのマンションを受け持つことが通常です。
<管理業務主任者の業務>
①管理委託契約書の締結および重要事項説明
②マンション内の設備保守、点検、修理(提案・手配・立会)
③緊急対応
④管理費・修繕積立金の集金
⑤理事会・総会の運営、出席、議事録作成
⑥修繕・建替え計画の策定、実施
⑦管理組合へ管理事務の報告
①管理委託契約書の締結および重要事項説明
まず、管理組合(マンション所有者たち)と所属する管理会社との間での「管理委託契約」を締結します。この「管理委託契約書」への記名押印は「管理業務主任者」の登録を受けた者が行わなければなりません。(独占業務)
また契約・更新の際に、「マンション管理適正化法」に基づき、管理組合に対して「重要事項説明」をしなければなりません。
管理委託契約における重要事項説明の内容は以下のとおりです。
(重要事項)
第八十四条 法第七十二条第一項の国土交通省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
一 マンション管理業者の商号又は名称、住所、登録番号及び登録年月日
二 管理事務の対象となるマンションの所在地に関する事項
三 管理事務の対象となるマンションの部分に関する事項
四 管理事務の内容及び実施方法(法第七十六条の規定により管理する財産の管理の方法を含む。)
五 管理事務に要する費用並びにその支払の時期及び方法
六 管理事務の一部の再委託に関する事項
七 保証契約に関する事項
八 免責に関する事項
九 契約期間に関する事項
十 契約の更新に関する事項
十一 契約の解除に関する事項
引用:マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(平成十三年国土交通省令第百十号)
②マンション内の設備保守、点検、修理(提案・手配・立会)
マンションの共用部分の設備保守点検は管理会社の受託業務です。
エントランスやエレベーター・廊下など、普段居住者が利用する空間はもちろん、給排水設備や電気系統、ボイラー室など管理人しか気づかない空間もカバーしなければなりません。
そのため、定期的に担当するマンションを巡回し、不具合がないかや故障しそうな設備を点検する必要があるのです。
もちろん不具合や故障が見つかった場合には修理する必要がありますので、軽微であれば自身で修理しますし、重症であれば外部に依頼し、立ち会うこともあります。
マンションでは約10~15年周期で「大規模修繕」を行う計画を立てます。それに向けて修繕積立金を回収し、予算取りします。
それ以外の年でも、細かな修繕や交換が発生する場合がありますので予算取りはしています。
しかし、設備の故障は放置されればされるほど、修理費が高くなってきます。
そのため、費用をより安く抑えるためにも早期発見し、応急措置や簡単な修理で収め、マンションの修繕費を安くすることもマンション管理会社の役割なのです。
③緊急対応・トラブル対応
不動産業界にいると「管理はブラック」と言われます。
その一番の理由がこの「緊急対応・トラブル対応」です。
基本的に管理会社のクライアントは「管理組合」であり、居住者の方々です。そのため、休日でもマンションに関するトラブルの問合せがあります。
ガスや電気・水道といったインフラ周りの不具合や、共用部分に関する不具合、防犯上のトラブルなど様々です。
別途常駐の管理人がいるマンションでは初期対応は捌いてもらえますが、重症の場合には担当する管理業務主任者が対応しなければなりません。
最近では働き方改革の影響もあり、1つのマンションに対し複数名で担当する管理会社が増えてきているため、「休日に電話が鳴る」といったことは少なくなってはいるようです。
また住民同士のトラブルなど、理屈でどうにもならない問題に巻き込まれたりと、面倒な対応をすることも求められます。
④管理費・修繕積立金の集金
管理費・修繕積立金の集金も管理会社の役割です。
未納があると、管理組合への月次報告や年一度の定期総会などでその金額・戸数を報告しなければなりません。
これは管理会社の管理能力を問われることにもなりますし、あまりにも未納が多いと今後の修繕計画に影響を及ぼします。
しっかりと漏れなく徴収する仕組みを構築することも必要です。
⑤理事会・総会の運営、出席、議事録作成
理事会・総会は区分所有法によって定められた管理組合による会合です。
総会には通常総会と臨時総会があり、通常総会は年1度以上開催し、臨時総会は所有者から希望があった場合に開催することを区分所有法により義務付けられています。
理事会は、所有者から選任された知事が、総会の前に総会で議論すべき内容を話し合ったり、日常的な問題について月1程度で話し合う会合です。
これらの会合についても、一般的には管理会社(管理業務主任者)が立ち会い、マンション管理の専門家として当該マンションの維持・管理・運営などについてアドバイスすることが求められます。コンサルティングに近いです。
また、議事録の作成や管理組合の会計帳簿の作成、所有者への報告などの雑務を求められることもあります。
⑥修繕・建替え計画の策定、実施
マンション管理でも特に重要なのが「長期修繕計画」の策定です。
マンション購入の際にも、購入者がチェックすべきなのもこの「長期修繕計画」です。
「マンションは『管理』を買う」と言われるほど、管理の質はマンションの価値に影響してきます。そのため、マンション内になるべく空室を作らないためにもこの長期修繕計画は重要になってきます。
マンション内の設備は、建築基準法や消防法などによって数年に一度点検・交換することが義務付けられています。
故障などにより交換する場合に費用が掛かるのはもちろんですが、点検をできるのはその分野の「有資格者」のみですので、点検だけでも外注費が掛かります。
さらに大きいのが「大規模修繕」です。
マンションごとの規約にもよりますが、10~15年に一度、数千万~数億円の費用を掛けて大規模修繕を行わなければなりません。
そのために、毎月の修繕積立金をどのように消化していくかをあらかじめ計画立てなければなりません。また、積立金の消化実績をもとに、日々計画を見直す必要があります。
さらに、仮に修繕積立金が今後不足しそうな場合には「修繕積立金の値上げ」を提案しなければなりません。
「修繕積立金の値上げ」には総会に議事として提案し、所有者(組合員)の過半数以上の賛成が得られる必要があります。
そのためには、説得力のある長期修繕計画を作成し、所有者を納得させなければなりません。
こうしたことも、管理会社および管理業務主任者の役割なのです。
⑦管理組合へ管理事務の報告
管理組合から管理業務の委託を受けた管理会社は、定期的に管理組合へ管理事務の報告をしなければなりません。
報告内容は、点検の状況や会計の報告などです。
そしてこの報告は、必ず「管理業務主任者」がしなければなりません。つまり、「管理業務主任者の独占業務」ということになります。
管理業務主任者で独立できる?
独立系の管理会社を設立
マンション管理は、国土交通大臣の登録を受けた管理会社でなければ行うことができません。そのため、「管理業務主任者」個人で管理業務にあたることはできないのです。
しかし、国土交通大臣の登録を受けることで独立系の管理会社は設立可能です。実際に多数存在しますので、「起業」という方法で独立することが可能です。
マンション管理士として独立
管理業務主任者と似た資格に「マンション管理士」があります。
マンション管理士は管理組合をクライアントとした「コンサルタント」です。
一般に、管理組合と管理会社は利益相反の関係にあると言われています。それは、管理会社の報酬である「管理費」も管理会社が金額を決めたり管理したりするためです。
マンション管理士は管理組合の立場に立って、管理会社の管理が適切かを含めたコンサルティングを行います。
管理業務主任者として管理会社での業務経験があることは、マンション管理士としての業務に非常に役立ちます。
現に管理業務主任者とマンション管理士のダブルライセンスを取得する方は非常に多くなっています。
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おわりに
いかがでしたでしょうか。
2010年代は特にタワーマンションをはじめとした大規模マンションが乱立し、その管理が問題視されています。
マンションは適切に管理されなければ、数十年後にマンションの価値が失われ、所有者にとっては不良債権のようになってしまいます。
そのため、管理のスペシャリストである「管理業務主任者」の需要は高まり、重宝されてくるはずです。
また、住民の対応などにより「ブラック」だと言われてきましたが、大手不動産会社を中心に改善されてきているそうです。
難易度は決して低いわけではありませんが、独学でも可能な試験です。
不動産に興味がある方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょう。