フラット35だけじゃない!?「住宅ローン金利で不動産投資」の手口とは?

フラット35だけじゃない!?「住宅ローン金利で不動産投資」の手口とは?

目次

いま問題になっている「フラット35不正」って何?

先月末からニュースなどで話題になっている「フラット35不正問題」

投資用不動産に興味がない方や、そもそもローンを組んだことのない方にはあまり理解ができないのではないでしょうか。

そこで、不動産業界7年・不動産投資歴5年の私が、業界の闇も含めて解説していきたいと思います。

 

住宅ローン(フラット35)と不動産投資ローンの違いは?

まず前提として理解しておく必要があるのが、「住宅ローンと不動産投資ローン」の違いです。
※フラット35は「国が運営する住宅ローン」くらいに思っておいてください。

<用途の違い>
住宅ローン:住宅の購入やリフォームのためのローン
不動産投資ローン:投資用不動産購入のためのローン

 

2つの用途の違いは以上のとおりです。そのまんまですね。

では、返済原資はどうでしょう?

<返済原資の違い>
住宅ローン:給与など
不動産投資ローン:①賃料収入 ②給与など

 

貸す側にとってあなたはどちらが「リスクが低い」と思うでしょうか。


不動産投資ローンのほうが賃料収入がある分、リスクは低いですよね?

いえ、違います。

不動産投資をしている人は、当然それ以外に「自分用の家」が必要になります。
それは賃貸でも購入していても変わりません。(ホームレスで不動産投資をしている人がいれば別かもしれませんが・・・)

すると、不動産投資の返済原資である「賃料収入」が空室などの影響でなくなってしまうと、自分の住宅のほかに毎月の給与から投資用ローンを支払わなければならなくなります

今の生活で、家賃とは別に月10万がなくなる、と考えるとゾッとしませんか?

そのため、不動産投資用ローンは貸す側(金融機関)にとってリスクが高いため、住宅ローンに比べて金利が高くなるのです。

<金利の違い>
住宅ローン:貸倒リスクが低いので、金利も低い
不動産投資ローン:貸倒リスクが高いので、金利も高い

 

 

金利が違うとどれくらい違うの?

「金利が違う」といいますが、実際の返済額にどれくらいの影響があるでしょうか。

住宅ローンだと、変動金利で低いところは0.5%程度、固定のフラット35だと1.11%程度です。
不動産投資ローンは、金融機関によって様々です。基本的には変動金利で、低いところで2%程度で融資してくれることもあります。

<金利例>
住宅ローン(変動):0.5%
住宅ローン(固定、フラット35):1.11%
不動産投資ローン:2.0%

↑こちらをもとにシミュレーションしてみましょう。

 

仮に、4,000万円の家を全額融資で購入する場合の返済総額で比較します。

<返済額シミュレーション>融資額4,000万円、ボーナス払い無し、元利均等
住宅ローン(変動):0.5% ⇒返済総額43,610,126円月々103,834円
住宅ローン(固定、フラット35):1.11% ⇒返済総額48,289,912円月々114,976円
不動産投資ローン:2.0% ⇒返済総額55,651,862円月々132,505円

 

いかがでしょう?ちょっとビックリですよね。
金利が1.5%違うだけで、返済額が1,000万円以上変わってきます。月々の支払も2万円近く違います。

「複利」って恐ろしいですねー。

これを見ると、「不動産投資を住宅ローンで組みたい…」と思う気持ちも分からないもないですね。

絶対だめですが!

 

 

「フラット35不正」とは?

いま世間を騒がせている「フラット35不正」とはまさに「不動産投資を住宅ローンで組みたい…」という悪知恵を実際にやってしまったものです。

融資機関を騙すわけですから、当然素人には不可能です。

「不動産屋の協力が不可欠」となります。

不動産屋としても、低金利ならお客さんも購入しやすくなりますので、成約率がグンと高まります。
そこで、不動産屋が「住宅ローンの低金利で不動産投資ができますよ」とけしかける訳です。

私も投資用不動産を数件保有しています。
幸い、優良な不動産屋にお世話になりましたので、そんな不正は持ち掛けられませんでしたが、「そういう人もいる」という情報は聞きました。

不動産業界では「よくある話」なのです。

 

 

「フラット35不正」の手口とは?

前述したように、投資用不動産ローンはリスクが高いため、「住宅ローン」を組む際には「居住用」であるか、金融機関などの融資機関は確認をしてきます

一応、融資機関との「金銭消費貸借契約」のときに色々と聞かれますが、事前に不動産屋から入れ知恵をされます。
「こう聞かれたらこう答えてください」
というマニュアルを伝授されるので、ここを突破するのは簡単です。

もちろん融資機関もバカではありませんので、口頭で「居住用ですよね?」と聞くだけではありません。

多くの融資機関では、

転居後に、「新住所の住民票」提出

 

を求めてきます。

 

逆に言えば、提出ができてしまえばOKということにもなります。

その後の注意点は「融資機関からの郵送物を受領すること」です。
その物件を賃貸に出したときに借主さんに、


●●というところから私宛に手紙が届いたら連絡してください

と伝えておきます。
協力料として賃料を割り引くケースもあります。(金利負担が軽くなるのでそれくらい余裕なのです)

 

<フラット35不正手口まとめ>
① 金銭消費貸借契約時に「居住用」である旨、虚偽の申告をする
② 対象物件引渡し後に「住民票の移転手続き」をして融資機関に提出
③ 住民票を現住所に戻す(融資機関への届け出は対象物件のまま)
④ 借主と口裏合わせて、融資機関からの郵送物を受け取ってもらう

 

今回取り上げられているのは「フラット35」ですが、実際には一般の金融機関の住宅ローンでも同様の手口が広がっている思われます。

 

 

バレるの?バレたらどうなるの?ハイリスクすぎるので絶対止めましょう

結論から申し上げるとバレます

正確にいうとバレる可能性はあります

バレると、残債務を一括返済しなければなりません。
おそらく数千万円規模の一括返済になると思いますので、物件を売却しなければならず、路頭に迷ってしまいます。

詐欺行為なうえ、非常にリスクが高いのが「フラット35不正」「住宅ローン不正」です。

金融機関にもよりますが、定期的に抜き打ちチェックをしているという噂もあります。

また、今回の報道により各融資機関一斉に何かしらの手段を講じてくると思われます。
実はやっていた、という方は今頃冷や汗ダラダラでしょうね。。

何がきっかけで明るみになるか分かりませんので、絶対にやめましょう。

 

 

プロの手口・・・不動産業界の闇

一般的に、よほどのセミプロでない限り、投資用不動産購入時には間に「不動産業者」「不動産仲介業者」が介在します。

そのため、不動産業者もグルでなければ成立しないのが「フラット35不正」です。

今回の報道では、「グル」どころか「主犯」とまで言われています。

これだけインターネット等で情報が出回る世の中ですので、一般のお客さんが不動産屋に提案するケースもあると思います。

「住宅ローン金利だったら買うよ」

と言われたら、成績のほしい不動産営業マンは乗ってしまうこともあるでしょう。

 

このように購入者・不動産屋どちらが主犯かはわかりませんが、加担した時点で同罪です。

ぶっちゃけ不動産投資している側から見ると、

住宅ローン金利で不動産投資できたら最高じゃん!!

とは思います。
利回りが雲泥の差ですから。

ただ、それは犯罪だということをしっかり理解する必要があります。

正直、今回の報道によって芋づる式に明るみになるんじゃないかなと思ってます。
逆にならなかったら「忖度」が働いた、と言わざるを得ないでしょう。

だって、調べるのなんて簡単ですから。

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