「固定資産を除却する」ということは、
「固定資産の残存簿価(BSに計上している価値)を捨てる」
ということです。
そのため、資産としていた金額を、損失に振替えることになります。
今回は、固定資産除却時の仕訳を徹底的に解説していきたいと思います。
基本的な内容ですが、経理初心者には少し難しい項目になりますので、しっかり理解していきましょう。
また「そのくらい当たり前に知ってるよ!」という方も、科目区分(営業費用か特別損失か)について解説していきますので、ご一読いただけると幸いです。
目次
固定資産の”簿価”について再確認
固定資産のうち、「償却資産」の会計処理について簡単におさらいしておきましょう。
償却資産は、決められた「耐用年数」に応じて、取得価額から少しずつ費用化していきます。
例えば、税抜600,000円で取得した備品を5年で定額法償却する場合、
600,000 ÷ 60ヶ月 = 10,000
となり、月10,000円ずつ償却していくことになります。
減価償却費 10,000 / 工具器具備品償却累計額 10,000
すると、4年後(48ヶ月後)には、480,000円が償却(費用化)されていることになります。
BS残高は、
工具器具備品:600,000円
工具器具備品償却累計額:480,000円
簿価:120,000円
ということになります。
固定資産除却時の仕訳は?
では、固定資産除却時の仕訳を確認していきましょう。
前述したのは「間接法」での償却方法でしたが、「直接法」の場合、少し仕訳の計上方法が変わってきます。
それぞれ見ていきましょう。
間接法の場合
主に有形固定資産の場合、間接法償却になります。
<例>
600,000円で購入した応接セット(簿価120,000円)を除却した。
借方 | 貸方 | ||
工具器具備品償却累計額 | 480,000 | 工具器具備品 | 600,000 |
固定資産除却損 | 120,000 |
<例>
600,000円で購入した応接セット(簿価120,000円)を除却した。廃棄にあたり、回収費用11,000円を現金で支払った。
借方 | 貸方 | ||
工具器具備品償却累計額 | 480,000 | 工具器具備品 | 600,000 |
固定資産除却損 | 120,000 | ||
固定資産除却損 | 10,000 | ||
仮払消費税 | 1,000 |
廃棄に係る費用については、固定資産除却損に含めることとされていますので、ご注意ください。
直接法の場合
主に無形固定資産の場合、直接法償却になります。
<例>
600,000円で開発したソフトウェア(簿価120,000円)を除却した。
借方 | 貸方 | ||
ソフトウェア除却損 | 120,000 | ソフトウェア | 120,000 |
固定資産除却損は「特別損失」?経常的か否かで判断
除却時に簿価額を費用化するために計上される「固定資産除却損」。
損益区分としては、
営業費用・営業外費用・特別損失
どこに区分されるのでしょうか。
一般的には、
- 廃棄行為自体が経常的に発生するものではない
という前提のもと、「特別損失」に区分します。
一方で、廃棄時に簿価が残っているということは、「会計上の見積もりの誤り」ということになります。
その場合、事業に関する内容であれば、営業費用で費用化すべきという考え方もあります。
そこで、
- 廃棄行為が経常的に発生するもの
という場合には、「営業費用」に区分すべき場合もあります。
例えば、私が以前経理部門で勤めていた会社では以下の分類をしていました。
事例① 全国数十ヶ所の事務所の閉鎖
まず一つ目の事例は、全国数十ヶ所の事務所を構える大企業です。
毎年5~10の新規開設と、0~3程度の閉鎖が経常的に発生していました。
事務所は賃貸でしたが、閉鎖時には事務所の内部造作の除却損が計上されます。
当ケースでの固定資産除却損は、特別損失として計上していました。
事例② 全国数千ヶ所の店舗の閉鎖
続いての事例は、全国展開するチェーン店を経営する大企業です。
超大手チェーン店でしたので、毎月のように新規出店・閉鎖(移転含む)が発生します。
そのため、事務所は賃貸でしたが、毎月数千万円規模の除却損が計上されました。
当ケースでの固定資産除却損は、営業費用として計上していました。
事例③ 全国数千ヶ所の駐車場の閉鎖
最後の事例は、駐車場を経営する企業でした。
駐車場の特性上、毎月10前後の開設・閉鎖が発生します。
駐車場にはフェンスやアスファルト、駐車場機器などの固定資産がありますので、閉鎖の度に除却損が計上されます。
当ケースでの固定資産除却損は、営業費用として計上していました。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、固定資産除却損の仕訳について解説しました。
固定資産は経理初心者が最初に突き当たる”カベ”ですので、しっかり押さえておきたいところです。
また、除却損の損益項目については、金額が大きい場合・頻度が多い場合には、営業費用として計上しなければならなくなるかもしれません。
常にその意識をもって会計業務に臨み、必要に応じて監査法人・顧問税理士と相談していきましょう。
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